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【宅建業法】AD(不動産広告料)が消費者の部屋探しを阻害する実情【グレーな報酬】

 

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4月からの新生活に向けて1人暮らしの準備を始める方が、まず最初に決めなければならないのは「住まい」です。金持ちのボンボン息子でもない限りいきなり家を買う人はいないはずなので、普通の感覚でいけば「賃貸物件」を探すと思います。


「起きて半畳、寝て一畳」という言葉があるように、人間は最低畳1枚分の広さがあれば何とかなるそうですが、あくまでこれは昔の人の言葉であり、物が溢れる現代社会において畳1畳で生活するのはとてもじゃないですが無理ゲーです。一般的には「6畳」の広さがあれば1人暮らしは困らないと言われていますので、洋室6畳+水回り(キッチン・お風呂・洗面所・トイレ等)がオーソドックスな部屋でしようか。まぁラブライブグッズを豊富に所持している場合は、もう少し広めの部屋が必要にはなりますけどね。


そんな部屋探しをする際は、ネットの不動産専用サイトを利用したり、不動産屋に条件を伝えて探してもらったりしますが、いざ案内された賃貸物件は住みたい条件にマッチした理想の部屋だったでしょうか。住んでみて、もしかしたらもっと良い条件の部屋があったかも?と思った事はないでしょうか。

 

AD(不動産広告料)という悪しき慣習

不動産屋への報酬

多くの不動産屋は仲介業を専門にやっており、売買契約や賃貸借契約の際に消費者から受け取る「仲介手数料」が主な収入源です。仲介手数料は宅建業法により受け取れる上限が決まっており、売買であれば10%税込で「3.3%+6.6万円」なので、価格4000万円の戸建仲介に成功したら「132万円+6.6万円=138.6万円」。賃貸であれば10%税込の家賃1ヵ月分なので、家賃10万円の賃貸仲介に成功したら「11万円」を仲介手数料として受け取る事が出来ます。この上限を超える仲介手数料を受け取った場合は「宅建業法違反」として厳しく処罰されますので、大抵の不動産屋はこれをしっかり守って営業しています。

 

しかし実際はこの仲介手数料の上限を超えて、グレーな報酬を受け取っている不動産屋がたくさんいます。そのグレーな報酬は不動産業界では「AD(不動産広告料)」と呼ばれており、言わば闇の特別ボーナスいう位置づけです。

 

今回は賃貸物件メインの話となりますが、先ほど説明した通り、賃貸物件の仲介手数料の上限は「家賃の1ヵ月分(税込)」と宅建業法で決まっています。しかし受け取る報酬の名目を「仲介手数料」とせず「AD(不動産広告料)」という表現にする事で、別で報酬を受け取っても「仲介手数料じゃないから大丈夫だ、問題ない」の一言で済まされてしまうのです。宅建業法も「そうなんだ!じゃあ問題ないね!」と見て見ぬふりです。

 

AD(不動産広告料)とは

ADは「advertisement」の略で意味は「広告・宣伝」です。不動産業界では「不動産広告料」という意味で使われます。このADは、入居者を募集したい賃貸物件の広告媒体(図面やネット)に「AD100」と表記する事で「仲介手数料とは別に家賃1ヵ月分の報酬を出す」というシークレットメッセージになります。

 

このシークレットメッセージは不動産業者間でしかわからないように隠されており、消費者は絶対に知る事が出来ません。AD100が付いた賃貸物件の仲介に成功した場合は、不動産屋は消費者から家賃1ヵ月分の仲介手数料を受け取り、大家さんから家賃1ヵ月分の不動産広告料を報酬として受け取るので、1回の仲介で家賃2ヵ月分の利益を得る事が出来てしまうのです。


街中でよく「当社は仲介手数料無料!」みたいなポップとかのぼりを見た事ありませんかね。これは消費者を誘い込むキャッチフレーズのようなもので、こういう不動産屋の掲載・紹介する物件は間違いなくADが付いています。消費者から仲介手数料を受け取らなくても、大家さんからADを受け取っているので絶対損をする事はありません。それでいて「仲介手数料無料」という強烈なキャッチフレーズを使用出来るので、はっきり言って集客力・競争力が半端ないです。

 

ADを使わざるをえない大家さん

日本は人口減少に伴い空き家が年々増えております。部屋を貸したい大家さんにとって空室リスクによる家賃収入減は恐怖でしかありません。ローンを組んで新築アパートを建てて念願の大家さんになったものの、入居者募集が思った以上に振るわず空室状態。ローン返済分が家賃収入で充当できず、返済が追い付かないので泣く泣く売却なんて話はよくあります。

 

同じような状態の大家さんは世の中にたくさん存在し、1~3月の不動産繁忙期は毎年熾烈な入居者の奪い合いが行われています。特に単身者向けのアパートやマンションは腐るほどあるため競争率は半端ないです。いかにして自分の賃貸物件に入居者を呼び込むか?同じ条件のライバル物件に差をつけるにはどうすれば良いか?悩む大家さんを遠目からニヤニヤしながら見ていた不動産屋は、ここぞとばかりにスッと近づき、耳元でこう囁くのです。

 

「YOU、広告料つけちゃいなよ!」

 

ADの使い方

賃貸物件にADが付くケースは色々ありますが、主な使い方は「広告料を支払ってでも空室リスクを回避したい」場合です。大家さんにとって延々と続く空室ほど怖いものはないので、ライバルに先を越されないよう所有する賃貸物件にADを付けて不動産屋に存在をアピールします。そうするとAD超大好きな不動産屋は、率先して案内・紹介をしてくれるようになります。逆に言えば、ADがついていない賃貸物件は優先順位が下がります。利益を優先するなら当然の事です。

 

同様に、駅から遠い・水回りが古い・幽霊が出る等、条件が悪くて入居者が決まりにくい賃貸物件にADを付ける事でも不動産屋に注目されやすくなります。不動産屋もプロですから、多少条件が悪くても付帯サービスを充実させたり、言葉巧みに消費者を納得させたり、奥義「仲介手数料無料」を使ったり、あの手この手で契約に誘導してきます。それくらいAD付きの賃貸物件は、商談を有利に進められる圧倒的なアドバンテージを持っているのです。

 

物件の良さよりADが重要になる

以上の事から、不動産屋はAD付きの賃貸物件をめちゃくちゃ好みます。一般的にADは「AD100」が最も多く使われますが、ガチの大家さんになると「AD300」とか普通に出してきます。入居さえしてしまえば3ヵ月で簡単にペイ出来るからですね。そんな賃貸物件が出てきたら不動産屋は喜んで紹介しちゃうので、もはや物件を見ずにADしか見ていない状態なのです。

 

近所の不動産屋がAD付きの賃貸物件かき集めて「仲介手数料無料」の看板を掲げてきたら、他の不動産屋もお客を取られまいと同じ事をやり始めると思います。そうなるとAD付きの賃貸物件ばかりが出回って、ADが付かない本当に良い物件が中々出回らなくなります。消費者は最初から選択肢が限定された状態で部屋探しをしていると言っても過言ではなく、物件の良さよりもお得さで最終的に決めてしまう傾向になっているのです。

 

とは言え、全ての不動産屋がそうであるとは限りませんし、ADに否定的な不動産屋もたくさんいると思います。しかし消費者が不動産屋の良し悪しを見極めるのは非常に困難です。本当に理想の部屋を探したい場合は、とりあえず物件が限定される仲介手数料無料の不動産屋は避けたほうが良いでしょう。部屋にこだわりがなく、費用対効果重視であれば別に避ける必要はないと思います。コスパ重視なら仲介手数料無料はでかいので。

 

まとめ

理想の部屋探しは、良い不動産屋を見つける事がとても大事だと思います。目先の利益に目がくらんで消費者の事を考えない不動産屋は須らく滅ぶべきです。しかし残念な事にそういう不動産屋の方が圧倒的に多いのが現実だったりします。一応擁護しておくと、不動産屋が悪いわけではなく全ては「AD」という悪しき慣習のせいですね。まぁ不動産業界のイメージがすこぶる悪い理由の一つである事は間違いないのですが。

 

今の不動産業界は、ADという利益に直結するものが不動産屋の目をくらませ、消費者ファーストでなく利益ファーストの状態を作り出してしまっています。おそらくこの悪しき慣習は国が動かない限り消える事はないでしょう。全くもって残念な事です。