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【ランキング上位】ブラジル株式ツインαファンド(毎月分配型)ってどんなファンド?【謎の人気】

 

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楽天証券の全銘柄ランキングで異様な存在感を放つファンドがあります。「ブラジル株式ツインαファンド(毎月分配型)」というファンドで、ツインαコースは現在の買付ランキングで3位に鎮座しています。純資産241億円、1年実績のトータルリターン8.03%と中々の運用。ちなみにSBI証券ではランキングに入っておりませんので、楽天証券で買付が多いファンド、ということになります。

 

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しかし不思議なことにあまり話題にあがりません。TOP10に入っているファンドは大体有名どころなので、「このハンバーガーとコーラは世界で一番売れている。だから世界で一番美味いものに決まってるだろ」的な理論で、「とりあえずみんな買っているから良いファンドなんだろ」という認識で買われているのでしょうか。楽天・全米株式やeMAXIS Slim米国株式ならまだしも、このブラジル株式ツインαファンド(毎月分配型)は一体どんなファンドなのか気になりますね。

 

ブラジルってサッカーくらしか思い浮かばん

ブラジル株式ツインαファンドのツインα・コースとは

運用方針的なものがすでに難解

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買付ランキング3位のブラジル株式ツインαファンド(毎月分配型)ツインα・コースは、米ドル建てブラジル株式上場投資信託を実質的な主要投資対象としており、ブラジル株式とオプション取引を組み合わせたブラジル株式カバードコール戦略に加えて、米ドル(対円レート)に為替変動とオプション取引を組み合わせた通貨カバードコール戦略を構築する、とのことですが、難解なキーワードがてんこ盛りですね。BLEACHで使われているオサレな詠唱呪文でしょうか。

 

破道の九十「黒棺」はカッコいいだろ、中二病的な意味で

 

2つのカバードコール戦略

ブラジル株式カバードコール戦略

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ブラジル株式カバードコール戦略は、基本的にはブラジル株式の上昇益を狙いますが、上昇益の50%を放棄するかわりにオプション料がもらえます。そのため株式が上昇しても下落してもブラジル株式の配当収入とオプション料が入ります。上昇した場合は、配当金+オプション料+上昇益の50%が総利益となり、下落した場合は、配当金+オプション料-下落損失が総損失という仕組みです。

 

例えば配当金が10円、オプション料が10円で、ブラジル株式が100円上昇した場合は10円+10円+(100円×50%)=70円の利益となります。一方、ブラジル株式が100円下落した場合は10円+10円-100円=-80円の損失となります。

 

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出展:ブラックロック・ジャパン株式会社

 

ちなみにブラジル株式ツインαファンドのベースである「iシェアーズ MSCI ブラジルETF」はこんな感じです。2016年からは上昇傾向にあるため、今後は上昇益が期待されているようですね。リーマンショックで1/3になるあたりが新興国株式の恐ろしいところではありますが。

 

通貨カバードコール戦略

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通貨カバードコール戦略は、ブラジル株式カバードコール戦略と仕組みは似ています。

 

例えば1米ドル=100円で取引開始する際に、あらかじめ満期日に110円で売るという約束をするかわりにオプション料がもらえます。しかし満期日の時点で120円だった場合、110円で売る約束をしたので、本来120円のところ「110円+オプション料」が総利益となります。下落した場合は下落幅がそのまま損失となりますが、オプション料で少し軽減できるという仕組みですね。

 

ツインα・コースは、ブラジル株式カバードコール戦略と通貨カバードコール戦略の2本立ての運用となりますが、この目論見書の説明でいくと、上昇しても利益は限定的なのに下落したら下落した分だけ損失が出る(ただし配当金とオプション料でちょびっと軽減出来る)ということです。

 

正直全然旨味を感じないというか、単純にブラジル株式の上昇を期待するのであれば、最初からiシェアーズ MSCI ブラジルETFを買ったほうがいいですよね。なんでこんな複雑な仕組みにしているんでしょうか?

 

分配金利回りがヤバかった

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ブラジル株式ツインαファンド(毎月分配型)ツインα・コースの基準価額は、2019年12月5日時点で「1135円」です。設定来から-88.65%という数値に戦慄しますね。でも基準価額+分配金は10393円ということで、分配金の割合が半端ない。

 

それもそのはず、このツインα・コースは現在の基準価額1135円で買うと分配金が毎月45円受け取れるのです。つまり年間540円の分配金となるため、分配金利回り47%というクレイジーな数値です。ぶっちゃけファンドの仕組みなんてどうでもよくて、単純に分配金の利回りが高いから人気なんですね。

 

分配金はどこから出てるの?

投資信託の毎月分配型は、通常1ヵ月毎に決算を行って、収益の一部を分配金として毎月分配します。しかし利益が出なかった場合でも分配金は出さなければならないため、その際は「投資した人の元本」を取り崩して分配金を出すファンドが多いです。そうなると当然基準価額は下がります。

 

例えば基準価額10000円のときに10000円の投資をして500円の分配金を受け取り、基準価額が9500円になった場合はプラスマイナス0ですが、信託報酬をとられますので結果マイナスになりやすいです。毎月分配型はこの仕組みがあるため投資家からすごく敬遠されます。

 

ツインα・コースの基準価額が10000円から1135円になっているのは、ファンドの成績うんぬんではなく、過剰に分配金を出しすぎていることが原因です。分配金をたくさんもらえて嬉しい!と思ったら基準価額の下落が大きすぎて実はトントン、もしくはちょっとマイナスというのがこのファンドの実態です。ようするに利益が支払う分配金に追いついていないってことですね。

 

まとめ

右肩上がりの上昇で収益をちゃんと確保しつつ、基準価額に影響がない範囲で毎月分配金を出すファンドであれば、基準価額差と分配金で旨味があるかもしれません。しかしブラジル株式ツインαファンドは「大きな分配金を出すこと」を売りにしており、そこに魅力を感じた人が殺到していることで「買付ランキング3位」という結果になっているわけです。

 

iシェアーズ MSCI ブラジルETFがそこそこ上昇中なので、これからは元本でなくちゃんと収益から分配金が出ることを期待している、ということも大いに考えられますが、まぁ手を出さないほうが良いでしょう。傍から見ればファンドの仕組みを難解にして100%理解させず、大きな分配金で顧客を釣りつつ、高額な信託報酬で儲けるファンドにしか見えません。ランキング上位だからといって、無暗に手を出したらケガするかもしれませんよ。